「おれが何か一つ、
良く仕え、良く尽くしてくれたあやつに報いてやれたものがあるとすれば、
それはあやつよりも少しでもこの命を永らえたことだろう。
島左近というおとこはこのおれを生かそう生かそうと生きたおとこだった。
そうして、おれはまだこうして生きよう生きようとしている。
それゆえ、あやつはきっとしあわせに生きただろう。
そうして、しあわせのうちに死んだのだ」
いま石田三成はこの世の淵に佇む。
あの彼岸まであとわずか。