「不思議なものです」
と言ったのは真田の次男坊だった。
よく晴れた青空の日に彼はこの佐和山にやって来た。
「傷ついた羽を持つ鳥こそが、もう一度飛べることを知っているのです」
と聞いたのは今は治部少輔でなくなった石田だった。
よく晴れた青空の日を彼は手を翳して見上げる。
「飛びましょう、三成殿」
真田は青空の中で、青空のように笑った。
「今度は親鳥に与えられた巣よりも高く、自らの力で」
飛びましょう、三成殿